木造十一面観音菩薩坐像(もくぞうじゅういちめんかんのんぼさつざぞう)他

更新日:2020年10月01日

頭に十一の面がついており、右手は膝の上におかれ、左手は肘を曲げている木造十一面観音菩薩坐像の写真

(注意:写真は木造十一面観音菩薩坐像)

指定年月日

昭和53年3月22日(市指定)

所在地

美祢市美東町綾木

概要

美東町綾木の万福寺は、現在は浄土真宗であるが、古くは禅寺で十一面観音坐像は、その頃の本尊と思われる。本堂の右側の観音堂に安置されている。像高55.1センチメートルの小坐像である。桧材の一木造りで、頭、体部(右腕の上膊部までを含め)を堅一材に彫り出し、横一材で膝前を彫り、下腹部に押し込むようにして柄2本で接ぎつけている。体部は背後襟下から地付までを割り、内刳りして脊板を当て、膝前も底からわずかに刳りを施している。宝髻上の仏面及び天冠台上を巡って一列に並ぶ10面の菩薩(内左側一面は欠失)は竹柄で地髪に植え付けている。当初は像全体に彩色されていたと思われ、ところどころに白土下地が残っている。
 毘沙門天像は、十一面観音坐像の左脇侍である。像高74.4センチメートル。頭上に宝髻を結び、天冠台を付ける。桧材の一木造りで、頭・体部とも足柄までを含めて堅一材に彫り出し、内刳りは施さない。両手は肩で別材を接ぎつけ、左手は更に手首から先を接ぎつけている。彩色は本体、邪鬼ともに後補。背面の裳の下に墨書銘があり、「享徳二天」とある。造顕年月が明らかであり、防長における中世彫刻の基礎資料として重要である。
 不動明王立像は、十一面観音菩薩の右脇侍である。像高71.0センチメートル、巻髪上に莎髻を置く。前面額上には金線冠をあらわす。桧材の一木造りで、頭、体部とも足柄までを堅一材の彫り出し、内刳りを施さない。両腕は肩で接ぎ、左手は更に臂から先を接ぎつける。両足先(左足先欠失)も接ぎつける。台座は桑の輪切りで後補。彩色も後補。素朴な彫刻法で、毘沙門天像と同時に造顕されたものと思われる。

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