○おもてなしのまち美祢観光振興条例
平成25年6月28日
条例第35号
観光振興は、地域の振興や地域経済の活性化に繋がるとともに、交流人口の拡大に大きく貢献するなど、本市の経済及び産業のあらゆる場面で幅広く寄与すると考えられ、「交流拠点都市~観光立市~」を目指す上で、観光事業の果たす役割は極めて重要である。
観光立市を目指すためには、市民が本市の自然豊かで素晴らしい観光資源を再認識し、埋もれた魅力や価値を知り、郷土に誇りと愛着を持ち、自信を持って観光旅行者をお迎えし、「また訪れたい観光地」と思っていただけるような魅力ある観光地の形成の推進など、より質の高い「おもてなしのまち美祢」への取組を行うことが必要である。
観光は、人と人のふれあいが大事であり人材育成が重要であることから、市民、観光事業者、観光関係団体及び市が相互的かつ一体的に連携をとりながら、おもてなしの意識を向上させる取組を行い、市全体の底上げを図ることを目的とした本市の顔となるおもてなしの構築を図ること、並びに既存の観光資源の磨き上げと積極的かつ迅速で正確な情報の発信を行うことが不可欠である。
また、多彩な観光資源を多く持つ本市では、その美観や奇観を損なうことなく後世に残し伝えていく責務があり、自然環境の保全と活用のバランスが求められ、持続可能な観光を推進していくことも必要であることから、観光旅行者の環境保全に対する理解の増進を図ることも重要である。
よって、「観光立市をめざす、おもてなしのまち」の実現に向け、ここにおもてなしのまち美祢観光振興条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、観光立市をめざす、おもてなしのまちの実現に向け、市の責務並びに市民、観光事業者及び観光関係団体の役割を明らかにするとともに、観光の振興に関する施策の基本となる事項を定めることにより、その施策を総合的かつ計画的に推進し、もって魅力ある活力に満ちた地域づくり、交流人口の拡大、本市経済の持続的な発展及び市民生活の向上に資することを目的とする。
(1) おもてなし 観光旅行者の立場に立って、次に掲げる行為により観光旅行者をもてなすことをいう。
ア 温かな心配りによる接待
イ 地域の良好な景観の形成並びに施設の整備、適切な管理等による観光旅行者の安全性、利便性及び快適性の確保
ウ 地域の特産物の活用並びに歴史的又は文化的資産の保存及び活用
(2) 観光資源 自然、歴史、伝統、文化、生活、産業その他観光の振興に資する資源をいう。
(3) 観光事業者 旅行業者、宿泊業者、飲食サービス業者、公共交通事業者その他観光に関する事業を営む者をいう。
(4) 観光関係団体 観光事業者で組織される団体及び観光の振興を目的として観光事業者、行政機関その他これに準ずる団体で組織される団体をいう。
(5) 観光関連施設 宿泊施設、食事施設、道の駅その他観光に関連する施設をいう。
(6) 社会教育施設 公民館、図書館、博物館、歴史民俗資料館、青少年自然の家などをいう。
(基本理念)
第3条 観光の振興は、市民、観光事業者、観光関係団体及び市が地域の自然、歴史、文化等に対する理解と関心を深め、誇りと愛着を持ち、心のこもったおもてなしを実践することが重要であるという認識の下に推進されなければならない。
2 観光の振興は、市民、観光事業者、観光関係団体及び市が相互に連携を図りながら推進されなければならない。
3 観光の振興は、観光産業が商業、工業、鉱業、農林業等の産業と関連を有する産業であり、市経済の発展の上で重要な役割を担っているという認識の下に推進されなければならない。
4 観光の振興は、おもてなしの意義を深く理解し、おもてなしに関する普及啓発活動に主体的に取り組むことのできる人材その他の観光の振興に寄与する人材の育成が重要であるという認識の下に推進しなければならない。
5 観光の振興は、将来にわたる持続的な観光の発展を実現するためには、良好な自然環境及び景観の形成並びに歴史的又は文化的資産の保存を図ることが重要であるという認識の下に推進されなければならない。
6 観光の振興は、ユニバーサルデザイン(年齢、性別、国籍、障害の有無等にかかわらず、全ての者が利用できるように施設又は設備を設計すること等をいう。)の観点等を踏まえ、全ての観光旅行者が常に安全かつ快適な旅行ができるよう配慮することが重要であるという認識の下に推進されなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、観光立市の実現に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
2 市は、前項の施策を実施するに当たっては、その効果的な実施を図るため、国、県及び他の地方公共団体との広域的な連携協力に努めなければならない。
3 市は、市民、観光事業者、観光関係団体及び市が相互に連携して観光立市の実現に関する施策が進められるよう総合調整を行わなければならない。
4 市は、市民が本市の自然豊かで素晴らしい観光資源を再認識し、埋もれた魅力や価値を知り、郷土に誇りと愛着、自信を持つことがおもてなしの基本と考え、市民に対し情報発信を積極的に行うものとする。
(市民の役割)
第5条 市民は、基本理念にのっとり、観光立市の意義に対する理解及び関心を深め、魅力ある観光地の形成に積極的な役割を果たすよう努めるものとする。
2 市民は、地域に誇りと愛着を持ち、地域の観光資源に関する知識の向上を図り、地域における観光振興に関する取組に参画するよう努めるものとする。
3 市民は、地域内の生活環境の美化及び自然環境の保全に努めるとともに、観光旅行者を温かく迎え、心のこもったおもてなしに努めるものとする。
(観光事業者の役割)
第6条 観光事業者は、基本理念にのっとり、地域の観光資源を大切に育み、その事業活動を通じて観光旅行者を温かく迎え、心のこもったおもてなしに努めなければならない。
2 観光事業者は、地域における他の産業と連携することにより、地域の活性化に努めるとともに、市が実施する観光立市の実現に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(観光関係団体の役割)
第7条 観光関係団体は、基本理念にのっとり、業界及び業種の枠を超えた連携を図りながら事業活動を行うよう努めるとともに、観光情報の発信、観光旅行者の誘致、接遇の向上その他観光旅行者の受入体制の整備等に取り組むよう努めるものとする。
2 観光関係団体は、市が実施する観光立市の実現に関する施策に協力するように努めるものとする。
(競争力の高い魅力ある観光地の形成)
第8条 市は、競争力の高い魅力ある観光地の形成を図るため、観光事業者その他の関係者との連携による観光地の特性を活かした良質なサービスの提供の確保及び観光関連施設の整備に必要な施策を講ずるものとする。
(地域の特性を活かした魅力ある観光地の形成)
第9条 市は、地域の特性を活かした魅力ある観光地の形成を図るため、地域の自然、歴史、文化及び産業に関する観光資源の保護、育成、開発及び磨き上げに必要な施策を講ずるものとする。
(世界的な展開ができる持続可能な観光地の形成)
第10条 市は、美祢市ジオパーク構想の推進等、世界的な展開ができる持続可能な観光地の形成を図るため、貴重な観光資源の保全及び観光旅行への活用に必要な施策を講ずるものとする。
(観光旅行者に対するおもてなしの向上)
第11条 市は、観光旅行者に対するおもてなしの向上を図るため、次に掲げる施策を講ずるものとする。
(1) 市民が地域についての理解と関心を深めることができるよう、地域の自然、歴史、文化等を学び、新たな魅力を発見する等の機会を提供すること。
(2) 観光に関する事業に従事する者等に対し、おもてなしの向上を図るための研修等の機会を提供すること。
(3) 加工品の開発等付加価値を生み出す取組により地域の特産物の魅力の増進を図りつつ、地域の特産物を活用すること。
(4) 前3号に掲げるもののほか、観光事業者及び観光関係団体に対する指導助言などおもてなしの向上を図るために必要な施策
2 前項の施策を効果的に推進するために、観光旅行者の立場に立ったおもてなしを基本とし、「また訪れたい観光地」の形成を図ることとする。
3 市は、おもてなしに取り組む社会的機運が醸成されるよう、おもてなしの推進に顕著な功績のあった市民、観光事業者及び観光関係団体に対する表彰、おもてなしに関する事例の紹介その他の事業を総合的に行うものとする。
(観光の振興に寄与する人材の育成)
第12条 市は、観光の振興に寄与する人材の育成を図るため、観光事業に従事する者の知識及び能力の向上、地域固有の文化、歴史等に関する知識の普及の促進等に必要な施策を講ずるものとする。
(観光旅行者の来訪の促進)
第13条 市は、観光旅行者の本市への来訪の促進を図るため、地域の観光地に関する観光宣伝活動及び観光情報の提供を行うとともに、市内外における観光関係団体と広域的に連携した観光振興に関する取組など必要な施策を講ずるものとする。
(外国人観光旅行者の来訪の促進)
第14条 市は、外国人観光旅行者の来訪の促進による国際観光の振興を図るため、本市の自然、文化、伝統等を活かした海外における観光宣伝活動の重点的かつ効果的な実施、地域内における交通、宿泊その他の観光旅行に関する情報の提供、通訳案内サービスの向上その他外国人観光旅行者の受入体制の確保に必要な施策を講ずるものとする。
(観光旅行者の利便の増進)
第15条 市は、観光旅行者の利便の増進のため、高齢者、障害者、外国人その他特に配慮を要する観光旅行者が円滑に利用できるように、観光関連施設の整備に必要な施策を講ずるものとする。
(観光旅行の安全の確保)
第16条 市は、観光旅行の安全の確保を図るため、観光地における事故、災害等の発生の状況に関する情報の提供、観光旅行における事故の発生の防止等に必要な施策を講ずるものとする。
(交通施設等の総合的な整備)
第17条 市は、観光旅行者の来訪の促進に必要な交通施設の総合的な整備を図るため、道路、鉄道その他の観光の基盤となる交通施設の整備について関係機関と広域的に連携し、必要な施策を講ずるものとする。
(新たな観光旅行への対応)
第18条 市は、新たな観光旅行の分野の開拓を図るため、自然体験活動、心身の健康の保持増進や食文化の理解を深めるための観光旅行、将来の定住につながる滞在型観光旅行その他多様な観光旅行の形態に対応するために必要な施策を講ずるものとする。
2 市は、新たな観光旅行の分野の開拓を図るため、外国とのスポーツ交流及び学術交流など相互理解の場を有効に活用した観光交流人口の拡大を図るために必要な施策を講ずるものとする。
3 市は、社会教育施設を活用し、本市の自然豊かで素晴らしい観光資源の歴史、形成過程を広く周知を図るため、学習機会の提供を積極的に行うなど学術観光のさらなる推進に必要な施策を講ずるものとする。
(観光地における環境の保全及び良好な景観の形成)
第19条 市は、観光地における環境の保全を図るため、観光旅行者による自然体験活動を通じた環境の保全に対する理解の増進及び観光旅行者のモラルの向上に必要な施策を講ずるものとする。
2 市は、観光地における良好な景観の形成を図るため、市民、観光事業者及び観光関係団体と連携し、良好な景観の形成に対する理解の増進を図るために必要な施策を講ずるものとする。
(観光振興計画の策定)
第20条 市長は、観光立市の実現に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、観光立市の実現に関する基本的な計画(以下「観光振興計画」という。)を定めるものとする。
2 観光振興計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 観光立市の実現に関する施策についての基本的な方針
(2) 観光立市の実現に関する目標
(3) 観光立市の実現に関し、市が総合的かつ計画的に講ずるべき施策
(4) 前3号に掲げるもののほか、観光立市の実現に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 市長は、観光振興計画を定めるに当たっては、あらかじめ市民等の意見が反映されるよう必要な措置を講ずるとともに、美祢市産業振興推進審議会の審議を経るものとする。
4 市長は、観光振興計画を定めたときは、遅滞なくこれを公表するものとする。
5 市長は、毎年度、観光振興計画に基づく施策の実施状況について、市議会及び美祢市産業振興推進審議会に報告するものとする。
(広報等)
第21条 市は、市民の観光立市に対する意識の高揚、おもてなしの心の醸成及び地域における観光の振興に関する取組への参画を促進するため、広報、啓発及び情報の提供に努めるものとする。
(財政上の措置)
第22条 市は、観光立市の実現に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(委任)
第23条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、市長が別に定める。
附則
この条例は、平成25年7月1日から施行する。