○美祢市準用河川に係る河川管理施設等の構造の技術的基準を定める条例
平成25年3月28日
条例第17号
目次
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 堤防(第3条―第16条)
第3章 床止め(第17条―第20条)
第4章 堰(第21条―第28条)
第5章 水門及び樋門(第29条―第36条)
第6章 橋(第37条―第42条)
第7章 伏せ越し(第43条―第47条)
第8章 雑則(第48条―第50条)
附則
第1章 総則
(趣旨)
第1条 この条例は、河川法(昭和39年法律第167号。以下「法」という。)第100条第1項において読み替えて準用する法第13条第2項の規定に基づき、河川管理者が管理する準用河川(法第100条第1項に規定する準用河川をいう。以下単に「河川」という。)に係る河川管理施設(法第3条第2項に規定する河川管理施設をいう。以下同じ。)又は法第26条第1項の許可を受けて設置される工作物(以下「許可工作物」という。)のうち、堤防その他の主要なものの構造について河川管理上必要とされる一般的技術的基準を定めるものとする。
(1) 計画高水流量 過去の主要な洪水及びこれらによる災害の発生の状況並びに流域及び災害の発生を防止すべき地域の気象、地形、地質、開発の状況等を総合的に考慮して、河川管理者が定めた高水流量をいう。
(2) 計画横断形 計画高水流量の流水を流下させ、背水又は計画高潮位の高潮が河川外に流出することを防止し、高規格堤防設計水位以下の水位の流水の作用に対して耐えるようにし、河川を適正に利用させ、流水の正常な機能を維持し、及び河川環境の整備と保全をするために必要な河川の横断形で、河川管理者が定めたものをいう。
(3) 流下断面 流水の流下に有効な河川の横断面をいう。
(4) 計画高水位 計画高水流量及び計画横断形に基づいて、又は流水の貯留を考慮して、河川管理者が定めた高水位をいう。
第2章 堤防
(適用の範囲)
第3条 この章の規定は、流水が河川外に流出することを防止するために設ける堤防について適用する。
(構造の原則)
第4条 堤防は、護岸、水制その他これらに類する施設と一体として、計画高水位以下の水位の流水の通常の作用に対して安全な構造とするものとする。
(材質及び構造)
第5条 堤防は、盛土により築造するものとする。ただし、土地利用の状況その他の特別の事情によりやむを得ないと認められる場合においては、その全部若しくは主要な部分がコンクリート、鋼矢板若しくはこれらに準ずるものによる構造のものとし、又はコンクリート構造若しくはこれに準ずる構造の胸壁を有するものとすることができる。
(高さ)
第6条 堤防の高さは、計画高水流量に応じ、計画高水位に次の表の右欄に掲げる値を加えた値以上とするものとする。ただし、堤防に隣接する堤内の土地の地盤高(以下「堤内地盤高」という。)が計画高水位より高く、かつ、地形の状況等により治水上の支障がないと認められる区間にあっては、この限りでない。
項 | 計画高水流量(単位 1秒間につき立方メートル) | 計画高水位に加える値(単位 メートル) |
1 | 200未満 | 0.6 |
2 | 200以上500未満 | 0.8 |
2 胸壁を有する堤防の胸壁を除いた部分の高さは、計画高水位以上とするものとする。
(天端幅)
第7条 堤防の天端幅は、堤防の高さと堤内地盤高との差が0.6メートル未満である区間を除き、3メートル以上とするものとする。
(盛土による堤防の法勾配等)
第8条 盛土による堤防(胸壁の部分及び護岸で保護される部分を除く。次項において同じ。)の法勾配は、堤防の高さと堤内地盤高との差が0.6メートル未満である区間を除き、50パーセント以下とするものとする。
2 盛土による堤防の法面は、芝等によって覆うものとする。
(護岸)
第9条 流水の作用から堤防を保護するため必要がある場合においては、堤防の表法面に護岸を設けるものとする。
(水制)
第10条 流水の作用から堤防を保護するため、流水の方向を規制し、又は水勢を緩和する必要がある場合においては、適当な箇所に水制を設けるものとする。
(管理用通路)
第11条 堤防には、規則で定めるところにより、河川の管理のための通路(以下「管理用通路」という。)を設けるものとする。
(波浪の影響を著しく受ける堤防に講ずべき措置)
第12条 湖沼又は2以上の河川の合流する箇所の堤防その他の堤防で波浪の影響を著しく受けるものには、必要に応じ、次に掲げる措置を講ずるものとする。
(1) 表法面に護岸又は護岸及び波返工を設けること。
(2) 前面に消波工を設けること。
(1) 天端及び裏法面をコンクリートその他これに類するもので覆うこと。
(2) 裏法尻に沿って排水路を設けること。
(背水区間の堤防の高さ及び天端幅の特例)
第13条 甲河川と乙河川が合流することにより乙河川に背水が生ずることとなる場合においては、合流箇所より上流の乙河川の堤防の高さは、第6条第1項の規定により定められるその箇所における甲河川の堤防の高さを下回らないものとするものとする。ただし、堤内地盤高が計画高水位より高く、かつ、地形の状況等により治水上の支障がないと認められる区間及び逆流を防止する施設によって背水が生じないようにすることができる区間にあっては、この限りでない。
(堤防の天端幅の特例)
第14条 堤防に第12条第1項第1号に掲げる措置を講ずる場合においては、当該堤防の天端幅は、第7条及び前条第2項の規定にかかわらず、第12条の規定により講ずる措置の内容及び当該堤防に接続する堤防(計画横断形が定められている場合には、計画堤防)の天端幅を考慮して、3メートル以上の適切な値とすることができる。
第3章 床止め
(構造の原則)
第17条 床止めは、計画高水位以下の水位の流水の作用に対して安全な構造とするものとする。
2 床止めは、付近の河岸及び河川管理施設の構造に著しい支障を及ぼさない構造とするものとする。
(護床工及び高水敷保護工)
第18条 床止めを設ける場合において、これを接続する河床又は高水敷の洗掘を防止するため必要があるときは、適当な護床工又は高水敷保護工を設けるものとする。
(護岸)
第19条 床止めを設ける場合においては、流水の変化に伴う河岸又は堤防の洗掘を防止するため、規則で定めるところにより、護岸を設けるものとする。
(魚道)
第20条 床止めを設ける場合において、魚類の遡上等を妨げないようにするため必要があるときは、規則で定めるところにより、魚道を設けるものとする。
第4章 堰
(構造の原則)
第21条 堰は、計画高水位以下の水位の流水の作用に対して安全な構造とするものとする。
2 堰は、計画高水位以下の水位の洪水の流下を妨げず、付近の河岸及び河川管理施設の構造に著しい支障を及ぼさず、並びに堰に接続する河床及び高水敷の洗掘の防止について適切に配慮された構造とするものとする。
(可動堰の可動部のゲートの構造)
第23条 可動堰の可動部のゲート(バルブを含む。以下この章において同じ。)は、確実に開閉し、かつ、必要な水密性及び耐久性を有する構造とするものとする。
2 可動堰の可動部のゲートの開閉装置は、ゲートの開閉を確実に行うことができる構造とするものとする。
3 可動堰の可動部のゲートは、予想される荷重に対して安全な構造とするものとする。
4 可動堰の可動部のゲートに作用する荷重としては、ゲートの自重、貯留水による静水圧の力、貯水池内に堆積する泥土による力、貯留水の氷結時における力、地震時におけるゲートの慣性力、地震時における貯留水による動水圧の力及びゲートの開閉によって生ずる力を採用するものとする。
(可動堰の可動部のゲートの高さ)
第24条 可動堰の可動部の引上げ式ゲートの最大引上げ時における下端の高さは、計画高水流量に応じ、計画高水位に第6条第1項の表の右欄に掲げる値を加えた値以上で、当該地点における河川の両岸の堤防(計画横断形が定められている場合において、計画堤防の高さが現状の堤防の高さより低く、かつ、治水上の支障がないと認められるとき、又は計画堤防の高さが現状の堤防の高さより高いときは、計画堤防)の表法肩を結ぶ線の高さを下回らないものとするものとする。
2 可動堰の可動部の起伏式ゲートの倒伏時における上端の高さは、可動堰の基礎部(床版を含む。)の高さ以下とするものとする。
(可動堰の可動部の引上げ式ゲートの高さの特例)
第25条 背水区間に設ける可動堰の可動部の引上げ式ゲートの最大引上げ時における下端の高さは、治水上の支障がないと認められるときは、前条第1項の規定にかかわらず、次に掲げる高さのうちいずれか高い方の高さ以上とすることができる。
(1) 当該河川に背水が生じないとした場合に定めるべき計画高水位に、計画高水流量に応じ、第6条第1項の表の右欄に掲げる値を加えた高さ
(2) 計画高水位
(管理施設)
第26条 可動堰には、必要に応じ、管理橋その他の適当な管理施設を設けるものとする。
第5章 水門及び樋門
(構造の原則)
第29条 水門及び樋門は、計画高水位以下の水位の流水の作用に対して安全な構造とするものとする。
2 水門及び樋門は、計画高水位以下の水位の洪水の流下を妨げず、付近の河岸及び河川管理施設の構造に著しい支障を及ぼさず、並びに水門又は樋門に接続する河床及び高水敷の洗掘の防止について適切に配慮された構造とするものとする。
(構造)
第30条 水門及び樋門(ゲート及び管理施設を除く。)は、鉄筋コンクリート構造又はこれに準ずる構造とするものとする。
2 樋門は、堆積土砂等の排除に支障のない構造とするものとする。
(断面形)
第31条 河川を横断して設ける水門及び樋門の流水を流下させる部分の断面形は、計画高水流量(舟の通行の用に供する水門にあっては、計画高水流量及び通行すべき舟の規模)を勘案して定めるものとする。
2 前項の規定は、河川及び準用河川以外の水路が河川に合流する箇所において当該水路を横断して設ける水門及び樋門について準用する。
2 河川を横断して設ける樋門で2門以上のゲートを有するものの内法幅は、5メートル以上とするものとする。ただし、内法幅が内法高の2倍以上となるときは、この限りでない。
(ゲート等の構造)
第33条 水門及び樋門のゲートは、確実に開閉し、かつ、必要な水密性を有する構造とするものとする。
2 水門及び樋門のゲートは、鋼構造又はこれに準ずる構造とするものとする。
3 水門及び樋門のゲートの開閉装置は、ゲートの開閉を確実に行うことができる構造とするものとする。
(水門のゲートの高さ等)
第34条 水門のカーテンウォールの上端の高さ又はカーテンウォールを有しない水門のゲートの閉鎖時における上端の高さは、水門に接続する堤防(計画横断形が定められている場合において、計画堤防の高さが現状の堤防の高さより低く、かつ、治水上の支障がないと認められるとき又は計画堤防の高さが現状の堤防の高さより高いときは、計画堤防)の高さを下回らないものとするものとする。
(管理施設等)
第35条 第26条の規定は、水門及び樋門について準用する。
2 水門は、規則で定めるところにより、管理用通路としての効用を兼ねる構造とするものとする。
第6章 橋
(河川区域内に設ける橋台及び橋脚の構造の原則)
第37条 河川区域内に設ける橋台及び橋脚は、計画高水位以下の水位の流水の作用に対して安全な構造とするものとする。
2 河川区域内に設ける橋台及び橋脚は、計画高水位以下の水位の洪水の流下を妨げず、付近の河岸及び河川管理施設の構造に著しい支障を及ぼさず、並びに橋台又は橋脚に接続する河床及び高水敷の洗掘の防止について適切に配慮された構造とするものとする。
(橋台)
第38条 河岸又は川幅が50メートル以上の河川、背水区間に係る堤防(計画横断形が定められている場合には、計画堤防。以下この条において同じ。)に設ける橋台は、流下断面内に設けてはならない。ただし、山間狭窄部であることその他河川の状況、地形の状況等により治水上の支障がないと認められるときは、この限りでない。
2 堤防に設ける橋台(前項の橋台に該当するものを除く。)は、堤防の表法肩より表側の部分に設けてはならない。
3 堤防に設ける橋台の表側の面は、堤防の法線に平行して設けるものとする。ただし、堤防の構造に著しい支障を及ぼさないために必要な措置を講ずるときは、この限りでない。
4 堤防に設ける橋台の底面は、堤防の地盤に定着させるものとする。
2 橋面(路面その他規則で定める橋の部分をいう。)の高さは、背水区間又は高潮区間においても、橋が横断する堤防(計画横断形が定められている場合において、計画堤防の高さが現状の堤防の高さより低く、かつ、治水上の支障がないと認められるとき、又は計画堤防の高さが現状の堤防の高さより高いときは、計画堤防)の高さ以上とするものとする。
2 前項の規定による場合のほか、橋の下の河岸又は堤防を保護するため必要があるときは、河岸又は堤防をコンクリートその他これに類するもので覆うものとする。
(管理用通路の構造の保全)
第41条 橋(取付部を含む。)は、規則で定めるところにより、管理用通路の構造に支障を及ぼさない構造とするものとする。
第7章 伏せ越し
(適用の範囲)
第43条 この章の規定は、用水施設又は排水施設である伏せ越しについて適用する。
(構造の原則)
第44条 伏せ越しは、計画高水位以下の水位の流水の作用に対して安全な構造とするものとする。
2 伏せ越しは、計画高水位以下の水位の洪水の流下を妨げず、並びに付近の河岸及び河川管理施設の構造に著しい支障を及ぼさない構造とするものとする。
(構造)
第45条 堤防(計画横断形が定められている場合には、計画堤防を含む。以下この項において同じ。)を横断して設ける伏せ越しにあっては、堤防の下に設ける部分とその他の部分とは、構造上分離するものとする。ただし、堤防の地盤の地質、伏せ越しの深さ等を考慮して、堤防の構造に支障を及ぼすおそれがないときは、この限りでない。
2 第30条の規定は、伏せ越しの構造について準用する。
(ゲート等)
第46条 伏せ越しには、流水が河川外に流出することを防止するため、河川区域内の部分の両端又はこれに代わる適当な箇所に、ゲート(バルブを含む。次項において同じ。)を設けるものとする。ただし、地形の状況により必要がないと認められるときは、この限りでない。
(深さ)
第47条 伏せ越しは、低水路(計画横断形が定められている場合には、当該計画横断形に係る低水路を含む。以下この条において同じ。)及び低水路の河岸の法肩から20メートル以内の高水敷においては低水路の河床の表面から、その他の高水敷においては高水敷(計画横断形が定められている場合には、当該計画横断形に係る高水敷を含む。以下この条において同じ。)の表面から、堤防(計画横断形が定められている場合には、計画堤防を含む。以下この条において同じ。)の下の部分においては堤防の地盤面から、それぞれ深さ2メートル以上の部分に設けるものとする。ただし、河床の変動が極めて小さいと認められるとき、又は河川の状況その他の特別の事情によりやむを得ないと認められるときは、それぞれ低水路の河床の表面、高水敷の表面又は堤防の地盤面より下の部分に設けることができる。
第8章 雑則
(適用除外)
第48条 この条例の規定は、次に掲げる河川管理施設又は許可工作物(以下「河川管理施設等」という。)については、適用しない。
(1) 治水上の機能を早急に向上させる必要がある小区間の河川における応急措置によって設けられる河川管理施設等
(2) 臨時に設けられる河川管理施設等
(3) 工事を施行するために仮に設けられる河川管理施設等
(計画高水流量等の決定又は変更があった場合の適用の特例)
第49条 河川管理施設等が、これに係る工事の着手(許可工作物にあっては、法第26条の許可。以下この条において同じ。)があった後における計画高水流量、計画横断形又は計画高水位(以下この条において「計画高水流量等」という。)の決定又は変更によってこの条例の規定に適合しないこととなった場合においては、当該河川管理施設等については、当該計画高水流量等の決定又は変更がなかったものとみなして当該規定を適用する。ただし、工事の着手が当該計画高水流量等の決定又は変更の後である改築(災害復旧又は応急措置として行われるものを除く。)に係る河川管理施設等については、この限りでない。
(小河川の特例)
第50条 計画高水流量が1秒間につき100立方メートル未満の小河川に設ける河川管理施設等については、規則で定めるところにより、この条例の規定によらないものとすることができる。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成25年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 昭和51年10月1日において現に存する河川管理施設等又は現に工事中の河川管理施設等(既に法第26条第1項の許可を受け、工事に着手するに至らない許可工作物を含む。)がこの条例の規定に適合しない場合においては、当該河川管理施設等については、当該規定は、適用しない。ただし、工事の着手(許可工作物にあっては、法第26条第1項の許可)が同日以後である改築(災害復旧又は応急措置として行われるものを除く。以下同じ。)に係る河川管理施設等については、この限りでない。
3 平成4年2月1日において現に存する水門及び樋門(以下「水門等」という。)又は現に工事中の水門等(既に法第26条第1項の許可を受け、工事に着手するに至らないものを含む。)がこの条例の規定に適合しない場合においては、当該水門等については、当該規定は、適用しない。ただし、工事の着手(同項の許可を受けて設置される水門等にあっては、同項の許可)が同日以後である改築に係る水門等については、この限りでない。