○美祢市火災調査規程
平成20年3月21日
消防本部訓令第15号
(趣旨)
第1条 この訓令は、消防法(昭和23年法律第186号)第7章の規定に基づき、火災の原因並びに火災及び消火のために受けた損害の調査(以下「調査」という。)について必要な事項を定めるものとする。
(定義)
第2条 この訓令における用語の意義は、火災報告取扱要領(平成6年消防災第100号消防庁長官通知)の定めるところによるものとする。
(調査の基本)
第3条 調査は、その原因及び損害の事実を明らかにするという強い信念をもって、迅速かつ確実に行わなければならない。
2 調査を行うに当たっては、個人の基本的人権を尊重し、関係者の協力を得るようにしなければならない。
3 調査は、事実の確認を主眼とし、先入観念にとらわれることなく、科学的な方法による確認と合理的な判断の上に立ち、事実の立証に努めなければならない。
(調査責任等)
第4条 調査の責任者は、予防課長又は消防署長(以下「課長等」という。)とする。
2 調査の担当区分は、次のとおりとする。
(1) 次に掲げる火災の調査責任者は、予防課長とする。
ア 防火対象物(消防法施行令(昭和36年政令第37号)別表第1に掲げる防火対象物をいう。)及びその敷地内の火災
イ 焼損床面積が、おおむね50平方メートルを超える建物火災
ウ 焼損面積が、おおむね1ヘクタールを超える林野火災
エ 特殊な原因による爆発火災
オ 危険物施設(製造所等及び少量危険物貯蔵・取扱所等)における火災
カ 死者の生じた火災
(2) 前号に掲げる以外の火災の調査責任者は、消防署長とする。
3 調査責任者は、調査のため必要があると認めるときは、相互に密接な連絡を保って調査員等の応援要請を行い、調査の円滑な推進を図らなければならない。
(調査主任者)
第5条 課長等は、自ら調査する場合を除いては消防司令補以上の階級にあるものを調査主任者として、命じなければならない。
(調査員)
第6条 調査に従事する消防職員(以下「調査員」という。)は、上司の命を受けて調査に従事する。
(調査の着手)
第7条 課長等は、管轄内の火災を覚知したときは、直ちに調査に着手しなければならない。
(調査員の心得)
第8条 調査員は、火災現象、関係法令等調査に必要な知識の習得及び調査技術の向上に努めなければならない。
2 調査員は、調査員相互の連絡を図り、調査業務の進行が円滑になるように努めなければならない。
3 調査員は、調査に際し関係者の民事的紛争に関与しないように努めるとともに、調査上知り得た秘密をみだりに他に漏らしてはならない。
4 調査員は、関係のある場所に立ち入って調査を行う場合は、原則として関係者の立会いのうえで、実施しなければならない。
5 警察機関その他の関係機関とは密接な連絡を取り、相互に協力して調査を進めなければならない。
(現場保存)
第9条 火災現場における調査員は、確実に現場を保存するよう努めなければならない。
2 調査員は、やむ得ない事由により現場を変更する必要があると認めたときは、課長等の指示を受けなければならない。
3 課長等は、やむ得ない事由で現場を変更する必要があるときは、写真、見取図、記録その他の方法により現状を明らかにする処置をとらなければならない。
(火災出場時の見分)
第10条 火災の現場に出場した消防職員は、火災の状況を詳細に見分し、調査資料の発見入手に努め、その状況を明らかにする見分調書を作成しなければならない。
(実況見分)
第11条 調査員は、火災現場その他関係のある場所及び物件について詳細に見分(以下「実況見分」という。)を行い、そのてん末を明らかにする実況見分調書を作成しなければならない。
2 実況見分は、関係者の立会いを求めて行うものとする。
3 18歳に満たない少年、心身障害者、知的障害者等(以下「少年等」という。)を、実況見分の立会者にしてはならない。ただし、保護者又はこれに代わる者(以下「保護者等」という。)の立会いを得て行う場合又は実況見分のため、特に必要があると認める場合は、この限りでない。
(質問)
第12条 関係のある者に質問を行うときは、供述の強制誘導を避け、その場所及び時期等を考慮し、任意の供述を得るものとする。
2 少年等に対する質問は、保護者等の立会いのもと行うものとする。ただし、調査のため特に必要があると認める場合は、この限りでない。
(質問調書)
第13条 前条の規定により質問を行った場合は、質問調書を作成しなければならない。
2 質問調書は、被質問者に閲覧又は読み聞かせ、誤りがないことを認めたときは、これに署名を求めるものとする。ただし、これを拒んだ場合は、質問調書にその旨を記載するものとする。
3 通訳人を介して質問を行った場合は、通訳人の介助を得て閲覧させ、又は読み聞かせ、通訳人の署名を求めるものとする。ただし、これを拒んだ場合は、質問調書にその旨を記載するものとする。
4 被質問者が署名できない場合、調査員は、内容事項が本人の意思と相違ないことを確認させ、代書の理由を記載し、代書する者に署名を求めるものとする。
5 少年等の質問調書には、立会いをした保護者等の署名を求めるものとする。ただし、これを拒んだ場合は、質問調書にその旨を記載するものとする。
6 質問調書の作成に図面等が必要な場合は、被質問者に作成を求めることができる。
(氏名等の公表禁止)
第14条 少年等による失火又は放火に起因する火災について、報道機関に発表する場合は、氏名、年齢、住所等本人を推知できる情報を公表してはならない。
(資料の提出等)
第15条 消防法第34条の規定により、関係者に対して必要な資料の提出を命じ、又は報告を求める場合は、火災調査物品等提出命令書により行わなければならない。ただし、関係者から自発的に提出されるものについては、この限りでない。
2 前項により提出される資料には、資料提出書を添付させなければならない。
3 第1項の資料の提出があったときは、資料保管簿に記載し、所有権を放棄しない提出者に対して資料保管書を交付しなければならない。
4 提出のあった資料の保管は、汚損、変質、変形等が生じないように慎重に取り扱うものとする。
5 保管資料は、その必要がなくなった場合は、これを返還しなければならない。
6 前項の返還を行うに当たっては、資料保管書を返還させ、資料保管簿の整理を行わなければならない。
(鑑定)
第16条 課長等は、火災に関係ある物件の鑑定が必要と認める場合は、その旨を消防長に報告しなければならない。
2 消防長は、前項の報告があったとき、又は火災の原因調査のため、特に必要があると認めたときは、官公署又は学識経験者に鑑定依頼書により鑑定を依頼するものとする。
3 資料保管書を交付した資料について、鑑定を行う場合は、あらかじめ提出者から鑑定処分承諾書を得ておかなければならない。
(原因の判定)
第17条 調査主任者は、火災の原因を調査し判定を行うに当たっては、この訓令に定める火災出場時における見分調書、実況見分調書、質問調書その他の関係資料等を総合的に検討し、火災原因認定書を作成しなければならない。
(調査書類の作成要領)
第18条 調査員の作成する原因調査書類(以下「書類」という。)には、作成年月日、所属、階級、氏名を明らかにし、押印するものとする。
2 書類には、各独立した一体の書類ごとに毎葉割印するものとする。
3 書類の余白には、「(以下余白)」と記入するものとする。ただし、質問調書にあっては、この限りでない。
4 書類の文字を訂正し、又は削り、若しくは加える場合は、「何字訂正」、「何字削除」又は「何字挿入」と記入し、抹消した文字には横線2本を引いて押印するものとする。
(火災の損害調査)
第19条 調査員は、火災及び消火のために受けた損害の調査を行うに当たっては、り災の状況を総合的に検討し、火災報告取扱要領の規定により行わなければならない。
(火災損害の届出)
第20条 課長等は、火災により、り災した物件の所有者、管理者、占有者又はその他の関係者から、り災申告書を提出させるものとする。
2 課長等は、り災申告書が提出されたときは、申告内容を調査し、不備な点について質問し、これを正さなければならない。
(報告)
第21条 課長等は、第7条により調査を行ったときは、調査に着手した日から起算して20日以内に消防長に報告書を提出しなければならない。
3 前項の書類は、火災の規模又は出火原因の状況等によっては、一部を省略することができる。
(中間報告)
第22条 課長等は、調査が長期にわたるとき、又は特に必要があるときは、消防長に調査の経過その他について中間報告を行わなければならない。
(火災原因調査報告書の併合)
第23条 複数の火災が発生して相互に関連のあった場合、一括して処理することが適当と認めるときは、火災原因調査報告書を併せて作成することができる。
(爆発災害等の準用)
第24条 爆発災害等による調査は、この訓令を準用する。
(り災証明)
第25条 消防長は、り災に関係ある者から、り災証明の交付申請があった場合は、当該火災の焼損状況等の事実に基づき、り災証明書を交付することができる。
(その他)
第26条 この訓令の施行に関し必要な事項は、消防長が別に定める。
附則
(施行期日)
1 この訓令は、平成20年3月21日から施行する。
(経過措置)
2 この訓令の施行の日の前日までに、解散前の美祢地区消防組合火災調査規程(昭和59年美祢地区消防組合訓令第15号)の規定によりなされた手続その他の行為は、この訓令の相当規定によりなされたものとみなす。
附則(平成22年消本訓令第1号)
この訓令は、平成22年12月21日から施行する。
附則(平成28年消本訓令第7号)
(施行期日)
1 この訓令は、平成28年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 この訓令の施行の際、第1条の規定による改正前の美祢市火災調査規程及び第2条の規定による改正前の美祢市火災予防違反処理規程に規定する様式による用紙で、現に残存するものは、当分の間、所要の修正を加え、なお使用することができる。
附則(令和3年消本訓令第1号)
この訓令は、令和3年4月1日から施行する。
別表第1(第21条・原因調査関係)
別表第2(第21条・損害調査関係)